ブランドの話をする前に、白状しておく。最初はTシャツを一枚作りたかっただけだった。
きっかけは、渋谷の路地裏で見た壁だった。深夜、周りはステッカーと剥がし跡だらけなのに、そこだけ何も貼られていなかった。誰かが貼りに来る前の、たぶん数日しかもたない白だった。
それまで着てきた服は、自分で選んだようでいてほとんど選んでいなかった。就活のスーツも、その後の服も、だいたい「今これが売れている」の中から取っていただけだ。別にそれが悪いとは思わない。ただ、あの壁を見てから、そういう服を着るのが少し気持ち悪くなった。
VOID RIOTは、その気持ち悪さから始めた。VOIDはあの壁のこと。RIOTはそこに何か書くこと。何を書くかはこっちで決めない。
在庫を持たない。
売り切ることに、慣れたくないから。
服を作るなら、余らせたくなかった。作りすぎて最後は叩き売る、みたいなブランドを、正直かっこいいと思ったことがない。だから量産はしない。注文が入った分だけ、そのつど作る。効率は悪いし、届くまで2〜3週間、待たせてしまう。それでも、売れ残りを理由に値段を下げていくような関係には絶対にしたくなかった。それだけは先に謝っておく。
型は今のところ5つ。増やす予定はあるけど、急がない。まずはこの5つを、ちゃんと着てもらえるものにしたい。